Moe船長の憂鬱w
From: Satoshi Te-Sudak
Sent: 2013.08.06 13:42
To: SKT Space Exploration Company, 

安全地帯に停泊した船。迷彩が崩れないために余分な動力源は落とされ、ナビビゲーションライトも今は暗い。探索ドローン管理ユニットと連動したモニターの横にコーヒーを置いてじっと物思いにふける船長。時折ドローンの管理モデュールから漏れるかすかな電子音の他に寝静まった艦の静寂を乱すものはない。ちらりとモニターに目をやりコーヒーを口に運ぶMoe船長。ドローンがシグネチャ付近に出るまでまだしばらくかかる。長い探索生活の中で幾度も経験した待ちの時間。このシステムに目を付けたのはしばらく前だったがやっとスケジュールに空きができた。ここにはなにかある。そう確信せずにいられない探検家の感とも言うべきものが鼓動を早める。
再びモニターを見た船長の額に皺が刻み込まれる。まただ。またXY-0034が定位置から流されてシグナルのフォーカスが波らんでいる。あのメカニックめ、150ISKも取るならしっかり修理してほしいものだ。Moe船長はため息をつきながらなれた手つきで流されたドローンを手動に切り替えると素早く座標修正をかける。これでいい。フォーカスの安定までに時間はかかるが、もう大丈夫だろう。冷えたコーヒーを口に運んで目線を膝の上に開かれた本に戻す。もう何か月になるのか?あくどいメカニックどもに頼るのにうんざりして自分で軽部品の修理をしようと思い立ってこの本を買った。ジータまで行ってやっとだ。買って勉強しようと思うと必ずと言っていいほど邪魔された。会社の新入りを案内したり、POS運用の部品を組んだり。せっかく買った本を読んで勉強どころか、倉庫の片隅に置きっぱなしにしていたな。でも、今は一人だ。今回はちゃんと本も持ち出したし、この静かな星系で探索しながらゆっくり読める。コップを置いてページをめくった瞬間にブザーがなった。反射的にモニターに向き直った船長の目を興奮がよぎる。シグネチャが安定した!しかも、この反応はUK-106タイプだ!開いていた本を床に落としたことにも気が付かず動力起動を始めたMoe船長の意識はもうシグネチャに集中していた...



探索に夢中になると他が目に入らない。宇宙を股にかけて彷徨い続けるカプスラーの性とも言えるだろうw

どの辺が憂鬱なのかは書いた本人も良くわかってないので悪しからず。